voices of cats 猫の声

神奈川県の愛川町に外猫のための診療所を始めました。

王子くん去勢手術翌日

昨日1月10日に去勢手術を受けた王子くんです。陰嚢の外観ご覧いただきます。腫れはかなりひいてきましたが、陰嚢の皮下出血で赤くなっております。このような状態を見てまだ精巣が残っていると勘違いしたコメントを以前ネットでみたことがあります。しばらくすると赤みはひいてきます。王子くん食欲元気は今まで通りです。今のところスプレーはしていません。去勢により、スプレーでのマーキングが無くなる保証はありません。それでも有効な手段のひとつではあります。

▲30時間後の陰嚢外観です。

王子くん去勢手術しました【手術後の陰嚢画像あります.注意してください.】

盲目の猫、王子くんは、本日1月10日去勢手術を受けました.
忙しくて後回しになっておりましたが、1週間ほど前からスプレーでマーキングし始めました. これはマズイと思い本日手術となりました.
去勢手術の他、以下の処置を行いました:
なお、白血病エイズの検査は2回実施済で、いずれも陰性(ー)を確認しております.
費用ですが、以下のとおりです:
  • 去勢手術(6050円)
  • 4種ワクチン(3850円、在庫のある時のみ)
  • マイクロチップ埋込(3300円、登録料は別)
合計税込13200円(VOC外猫診療所での費用)でした.

▲術後30分の陰嚢の外観

▲術後40分の陰嚢の外観

▲術後10時間後の外観・腫れもひいてきました.


 
 
 
 
 
 
 

猫を多く飼育されている方に対するVOC外猫診療所の対応

 当診療所では、猫を保護されている方が多く来院されます。猫を保護し始めると自然とその数が増えるようです。「今いる子を保護して、なぜこの子を保護出来ないのか。」と思う気持ちでしょう。筆者も同様で、自分で保護した母猫の子で16歳になるのが2頭おり、他は依頼者様から持ち込まれた猫を中心に12頭、合計14頭の大所帯です。

 

 猫の数が多くなると餌代もかかります。旅行も気軽に行けないこともあるでしょう。それでも猫達との生活から得られる幸せは替えがたいものです。一方で獣医療費は複数頭が病気になった場合、相当の負担になることが予想されます。従って猫が若いうちから将来的に罹りやすい病気に注意しておく必要があります。

 

 予防として取り組みやすいのは、食事、トイレ環境、体重変化です。また定期的な健康チェックも重要です。VOC外猫診療所では費用負担のかからない健康チェックをご提案させていただいております。ぜひお問い合わせください。

 

 参考[全て税込み]初診(視診・触診・聴診・耳内検鏡等)770円、糞便検査660円。

 

▲この2匹は筆者が保護した母猫の子で、太陽とミラです。
 

 

 

 

 

 

学はあってもバカはバカ

さて、本日8月28日定期購読の『Will 10月号』が手元に届きました。今日のブログタイトルは、表紙のタイトルをそのまま別な先生様に使わせていただく。
ページ18から19の一部を引用させていただく。
 
【以下引用】
 
上記の三匹は、終日ほぼ、我が家のまわりに暮している感じだが、四匹目の黒猫、こいつは、食事時間ごろ、どこからともなく現れて、食べ終わると、どこかに消える。つまり、拙宅を只の飯屋と思っていて厚かましい。許せん。或る時、こいつの尻を思いきり蹴飛ばしたら、あっと言うまに消えた。それから数日間、遠巻きに我が家近くに来ていたが、老生の姿を見て諦めたか、消えた。
 
                   【以上】
加地伸行という大阪大学名誉教授だそうだ。許せん。この老人の文章は金輪際読むつもりはない。

▲かじのぶゆきイメージ

なぜ外猫の手術助成を「その場で承認」できないのか

先日届いた、「令和3年10月1日以降に申請された、飼い主のいない猫に関する申請件数、及び結果報告件数」に関して、あらためて検討した内容をお知らせいたします。

表から分かるように手術の達成率は、令和3年度78.9%、令和4年度58.3%と下がっており、本年度は途中であることから不明であるものの、予定件数12頭に対し、実施件数が0頭(実施したものの報告書が出されていない可能性はある)という現状があります。
 
筆者は、計画書提出に対し、計画承認をその場で行うよう主張しております。表からわかるように、当日承認した件数は2件あります。しかし、承認の通知を郵送で送っていることから、承認日から実際に手元に届いたのはさらに2〜3日程度かかっているのではないかと推測できます。
 
別なブログでも主張しておりますが、妊娠猫の手術が遅れれば出産の可能性があります。承認書が手元に届いてから捕獲にとりかかるわけですから、出産して子猫が既に生まれてしまっていることも考えられます。
当日承認出来ない理由として、現場の確認をするとのことです。参考までに、「他の仕事もある」と言っておられたこともありました。
 
環境課の職員さんは何を確認するのでしょうか。良くわかりません。猫がいるかどうか見るのでしょうか。いつもその場所にいるわけではないでしょう。不思議なので、内容を確認したところ、驚くことにこの現場確認は記録していないそうです。やっていることの意味が良くわかりません。例えば職場で外猫が生まれてしまうことだってあります。経営者や上司の方が理解のある方とは限りません。内緒で手術したいと思っている方が、まさか会社に町職員が来るとは思っていないでしょう。あきらめて手術しないか、助成金無しで手術依頼することもあるかもしれません。
 
あまりきつい言葉は使いたくはありませんが、あきれますよね。この程度の想像力が町で働かないのは愛川町民にとって不幸でしかありません。誇りをもって愛川町に住むにはこういった知性のかけらもない町政を正すしかないと筆者は強く主張します。
 
【8/5】後半部分加筆修正してわかりにくい部分を改善しております。

雌猫の妊娠回数に関して

長い間環境省と議論してきましたが、当方の正当性を環境省が認めましたので、時間を追ってご説明します。
 
出来る限り憶測などを排除するため、具体的な内容は加工せずお伝えしたいと思います。
なお、公開されている情報はそのまま「切取り」で、メール等の文面は、以前のブログではそのまま切り抜きでお伝えしてきましたが、今回のブログでは、筆者の入力でお伝えします。
 

おおよその流れは以下の通りです。

  • (1)猫の飼い方・マナーにおける記載への質問
  • (2)環境省への質問と環境省からの回答
  • (3)環境省への再質問と環境省からの再回答
  • (4)VOC外猫診療所の提案
 
(1)愛川町ホームページにおける『猫の飼い方・マナー』猫の妊娠回数に関して質問しました。
 
環境課への質問(2023/4/?日付不明)
→ホームページで猫の妊娠回数に関して年に2〜4回と記載されていますが、根拠はあるのでしょうか。
環境課からの回答(2023/4/17)
今鉾 君雄様
平素よりお世話になっております。
ホームページのお問い合わせについて回答いたします。
猫の出産回数につきましては、環境省資料において1年に2~4回とされておりますことから、町ホームページにおいては、その資料を参考にしております。
また、1回あたりの出産頭数については町ホームページでは3~5頭としておりましたが、環境省資料に合わせ、4~8頭に修正いたします。
なお、猫の出産回数等についての科学的根拠につきましては環境省へお問い合わせ下さい。
この度は貴重なご意見をいただきありがとうございました。
【以下愛川町ホームページより】

                                【以上】
▲これより前では、年2〜4回、1回あたり3〜5頭 となっておりました。
 
この回答に対しての返信(2023/4/17)
→環境課ご担当者様
 ご連絡ありがとうございます。後ほど環境省に問合せします。
神奈川県動物愛護センターへの問合せでは、4回は無いとの回答を得ています。
環境省の回答結果がわかりましたら再度問合せさせていただきます。
 
今鉾君雄
 
(2)環境省への質問し、回答を得ました
 
環境省への質問(2023/4/17)
ご担当者様
 
内容 :パンフレット『ふやさないのも愛』3ページ目のNo.5 「猫は1回の出産で4〜8頭の子猫を産み、1年に2〜4回の出産が可能です。」のエビデンスを教えてください。
    特に年間4回出産できる状況が良くわかりません。よろしくお願いします。コールセンターには問合せ済です。
 
今鉾君雄
【以下環境省資料「ふやさないのも愛」より】

                               【以上】
 
環境省からの回答(2023/5/2)
→ 今鉾君雄 様
 
お問い合わせいただきありがとうございました。以下回答させていただきます。
年間4回出産できる状況につきまして、そういったケースが猫の繁殖サイクル上想定され得るとともに、実際に確認されていることを掲載の根拠としています。文末の参考資料をご参考にしていただけますと幸いです。
具体的には、出産後哺乳しなかった母猫においては、平均21.9日で次の交配が成立したという報告があります(※P85右列)。その報告を基に、妊娠期間を64.9日(※P85左列) と仮定し、実際に出産後哺乳しなかった母猫または人為的に離乳された母猫が、仮に21.9日後に交配・妊娠が成立すると、理論上年4回の出産が可能と考えられ、本パンフレットに掲載しています 。
参考情報ですが、年間4回出産した個体を確認しているとの自治体職員からの報告もあります。生まれたばかりの子猫を母猫から引き離し、保健所に持ち込む等し、残った母猫が程なく交配成立、再び妊娠出産というサイクルに入り、年間4回の出産が成立したとのことです。
 
※参考資料
信永利馬、岡本道生、高橋和明(1972)。小ケージ内におけるネコの繁殖成績
家畜繁殖誌 22巻3号
 
【以下資料】

                               【以上】

 
(3)環境省への再度質問し、再度回答を得ました
 
環境省への再質問(2023/5/10と6/5)
5月10日にお送りしました内容の再送です。よろしくお願いいたします。
 
回答ご担当者様
 
愛川町にありますVOC外猫診療所の獣医師の今鉾と申します。先日ご回答(2023年5月2日14:08)いただいた件で追加で幾つか質問させて下さい。
「小ケージ内で育成飼育したネコの繁殖成績(以下資料)」について、貴殿は出産後哺乳しなかった母体の次の交配日を平均21.9日、妊娠期間を64.9日と仮定して、理論上年4回の出産が可能としております。(21.9+64.9)×4=347.2<365というこですね。さて、この資料のP84左には「出産は年間を通じて見られ、総腹数84腹における月別出産状況をみると、とくに8月、11〜1月、5月に多かった」、「交配数には時期的に増減があり10〜12月、3〜6月に多くなる傾向が見られ、出産は5月、5月及び11〜1月が多くなっている。このことは日照時間が短縮する季節に発情個体が多くなることを実験的に証明したSCOTT & LLOYD-JACOB の報告と多少異なり、今後の検討に興味がもたれる。」とあり、1個体での出産回数は示されないものの、少なくとも実際出産するピークが2〜3であることが示されている。貴殿はこの資料をもって理論上年4回の出産が可能であるとの根拠にしてあり、こちらが指摘したパンフレットのエビデンスとしているが少々無理があるのではないでしょうか。加えて、この資料の目的が「日本のイエネコを実験動物化する目的で、1969年2月から小ケージ内繁殖を試みた」とあります。サマリーにも年間出産回数については言及されていません。ついでに、参考情報として、「年間4回出産した個体を確認しているとの自治体職員からの報告もあります。生まれたばかりの子猫を母猫から引き離し、保健所に持ち込む等し、残った母猫が程なく交配成立、再び妊娠出産というサイクルに入り,年間4回の出産が成立したとのことです。」を示しているが、同じ個体であるかの確認、そもそも無条件に引き取り避妊させない、等参考情報にはほど遠いものを提示されてもこまります。筆者の愛川町役場では専門職である獣医師はおりません。野良猫に関する町のホームページ上の情報は環境省の情報を写すのみです。いわゆる孫引きしかできません。再度ご説明いただくとありがたいです。
 
環境省からの回答(2023/7/11)
→今鉾 君雄 様
 
再度のお問い合わせをいただき、ありがとうございました。
また、回答にお時間を要しましたことお詫び申し上げます。
ご指摘をふまえ、実態に即した情報に修正することが適切と認識いたしました。
この度は貴重なご意見をいただきありがとうございました。    
 
(4)VOC外猫診療所の提案
 
愛川町環境課には環境省の回答は伝えてあります。
筆者の経験と多くの猫に係わる人の意見をまとめると、
 
猫の妊娠回数は、年1回〜2回、条件により3回もありうる。1回当たりの子猫数は1頭〜5頭、条件により6〜7頭もありうる。
 
です。愛川町環境課におかれましては、環境省の修正を待たずに変更を望みます。
 
[今鉾君雄より]
環境省の役人は分かっていませんね。どこからか化石のような資料を持ちだしてきて、「これが根拠(エビデンス)だ。」といっても令和5年の時代に通用しませんね。追試験するにしても、このような実験は、動物福祉の観点から認められるわけないでしょう。残念なことに全国の自治体でこの環境省の資料を参考に業務がなされているのですから困ったものです。7月23日現在、環境省の資料等は修正されておりませんので、来年度までに修正されていないようであれば再度問合せしたいと考えています。