voices of cats 猫の声

神奈川県の愛川町に外猫のための診療所を始めました。

学はあってもバカはバカ

さて、本日8月28日定期購読の『Will 10月号』が手元に届きました。今日のブログタイトルは、表紙のタイトルをそのまま別な先生様に使わせていただく。
ページ18から19の一部を引用させていただく。
 
【以下引用】
 
上記の三匹は、終日ほぼ、我が家のまわりに暮している感じだが、四匹目の黒猫、こいつは、食事時間ごろ、どこからともなく現れて、食べ終わると、どこかに消える。つまり、拙宅を只の飯屋と思っていて厚かましい。許せん。或る時、こいつの尻を思いきり蹴飛ばしたら、あっと言うまに消えた。それから数日間、遠巻きに我が家近くに来ていたが、老生の姿を見て諦めたか、消えた。
 
                   【以上】
加地伸行という大阪大学名誉教授だそうだ。許せん。この老人の文章は金輪際読むつもりはない。

▲かじのぶゆきイメージ

なぜ外猫の手術助成を「その場で承認」できないのか

先日届いた、「令和3年10月1日以降に申請された、飼い主のいない猫に関する申請件数、及び結果報告件数」に関して、あらためて検討した内容をお知らせいたします。

表から分かるように手術の達成率は、令和3年度78.9%、令和4年度58.3%と下がっており、本年度は途中であることから不明であるものの、予定件数12頭に対し、実施件数が0頭(実施したものの報告書が出されていない可能性はある)という現状があります。
 
筆者は、計画書提出に対し、計画承認をその場で行うよう主張しております。表からわかるように、当日承認した件数は2件あります。しかし、承認の通知を郵送で送っていることから、承認日から実際に手元に届いたのはさらに2〜3日程度かかっているのではないかと推測できます。
 
別なブログでも主張しておりますが、妊娠猫の手術が遅れれば出産の可能性があります。承認書が手元に届いてから捕獲にとりかかるわけですから、出産して子猫が既に生まれてしまっていることも考えられます。
当日承認出来ない理由として、現場の確認をするとのことです。参考までに、「他の仕事もある」と言っておられたこともありました。
 
環境課の職員さんは何を確認するのでしょうか。良くわかりません。猫がいるかどうか見るのでしょうか。いつもその場所にいるわけではないでしょう。不思議なので、内容を確認したところ、驚くことにこの現場確認は記録していないそうです。やっていることの意味が良くわかりません。例えば職場で外猫が生まれてしまうことだってあります。経営者や上司の方が理解のある方とは限りません。内緒で手術したいと思っている方が、まさか会社に町職員が来るとは思っていないでしょう。あきらめて手術しないか、助成金無しで手術依頼することもあるかもしれません。
 
あまりきつい言葉は使いたくはありませんが、あきれますよね。この程度の想像力が町で働かないのは愛川町民にとって不幸でしかありません。誇りをもって愛川町に住むにはこういった知性のかけらもない町政を正すしかないと筆者は強く主張します。
 
【8/5】後半部分加筆修正してわかりにくい部分を改善しております。

雌猫の妊娠回数に関して

長い間環境省と議論してきましたが、当方の正当性を環境省が認めましたので、時間を追ってご説明します。
 
出来る限り憶測などを排除するため、具体的な内容は加工せずお伝えしたいと思います。
なお、公開されている情報はそのまま「切取り」で、メール等の文面は、以前のブログではそのまま切り抜きでお伝えしてきましたが、今回のブログでは、筆者の入力でお伝えします。
 

おおよその流れは以下の通りです。

  • (1)猫の飼い方・マナーにおける記載への質問
  • (2)環境省への質問と環境省からの回答
  • (3)環境省への再質問と環境省からの再回答
  • (4)VOC外猫診療所の提案
 
(1)愛川町ホームページにおける『猫の飼い方・マナー』猫の妊娠回数に関して質問しました。
 
環境課への質問(2023/4/?日付不明)
→ホームページで猫の妊娠回数に関して年に2〜4回と記載されていますが、根拠はあるのでしょうか。
環境課からの回答(2023/4/17)
今鉾 君雄様
平素よりお世話になっております。
ホームページのお問い合わせについて回答いたします。
猫の出産回数につきましては、環境省資料において1年に2~4回とされておりますことから、町ホームページにおいては、その資料を参考にしております。
また、1回あたりの出産頭数については町ホームページでは3~5頭としておりましたが、環境省資料に合わせ、4~8頭に修正いたします。
なお、猫の出産回数等についての科学的根拠につきましては環境省へお問い合わせ下さい。
この度は貴重なご意見をいただきありがとうございました。
【以下愛川町ホームページより】

                                【以上】
▲これより前では、年2〜4回、1回あたり3〜5頭 となっておりました。
 
この回答に対しての返信(2023/4/17)
→環境課ご担当者様
 ご連絡ありがとうございます。後ほど環境省に問合せします。
神奈川県動物愛護センターへの問合せでは、4回は無いとの回答を得ています。
環境省の回答結果がわかりましたら再度問合せさせていただきます。
 
今鉾君雄
 
(2)環境省への質問し、回答を得ました
 
環境省への質問(2023/4/17)
ご担当者様
 
内容 :パンフレット『ふやさないのも愛』3ページ目のNo.5 「猫は1回の出産で4〜8頭の子猫を産み、1年に2〜4回の出産が可能です。」のエビデンスを教えてください。
    特に年間4回出産できる状況が良くわかりません。よろしくお願いします。コールセンターには問合せ済です。
 
今鉾君雄
【以下環境省資料「ふやさないのも愛」より】

                               【以上】
 
環境省からの回答(2023/5/2)
→ 今鉾君雄 様
 
お問い合わせいただきありがとうございました。以下回答させていただきます。
年間4回出産できる状況につきまして、そういったケースが猫の繁殖サイクル上想定され得るとともに、実際に確認されていることを掲載の根拠としています。文末の参考資料をご参考にしていただけますと幸いです。
具体的には、出産後哺乳しなかった母猫においては、平均21.9日で次の交配が成立したという報告があります(※P85右列)。その報告を基に、妊娠期間を64.9日(※P85左列) と仮定し、実際に出産後哺乳しなかった母猫または人為的に離乳された母猫が、仮に21.9日後に交配・妊娠が成立すると、理論上年4回の出産が可能と考えられ、本パンフレットに掲載しています 。
参考情報ですが、年間4回出産した個体を確認しているとの自治体職員からの報告もあります。生まれたばかりの子猫を母猫から引き離し、保健所に持ち込む等し、残った母猫が程なく交配成立、再び妊娠出産というサイクルに入り、年間4回の出産が成立したとのことです。
 
※参考資料
信永利馬、岡本道生、高橋和明(1972)。小ケージ内におけるネコの繁殖成績
家畜繁殖誌 22巻3号
 
【以下資料】

                               【以上】

 
(3)環境省への再度質問し、再度回答を得ました
 
環境省への再質問(2023/5/10と6/5)
5月10日にお送りしました内容の再送です。よろしくお願いいたします。
 
回答ご担当者様
 
愛川町にありますVOC外猫診療所の獣医師の今鉾と申します。先日ご回答(2023年5月2日14:08)いただいた件で追加で幾つか質問させて下さい。
「小ケージ内で育成飼育したネコの繁殖成績(以下資料)」について、貴殿は出産後哺乳しなかった母体の次の交配日を平均21.9日、妊娠期間を64.9日と仮定して、理論上年4回の出産が可能としております。(21.9+64.9)×4=347.2<365というこですね。さて、この資料のP84左には「出産は年間を通じて見られ、総腹数84腹における月別出産状況をみると、とくに8月、11〜1月、5月に多かった」、「交配数には時期的に増減があり10〜12月、3〜6月に多くなる傾向が見られ、出産は5月、5月及び11〜1月が多くなっている。このことは日照時間が短縮する季節に発情個体が多くなることを実験的に証明したSCOTT & LLOYD-JACOB の報告と多少異なり、今後の検討に興味がもたれる。」とあり、1個体での出産回数は示されないものの、少なくとも実際出産するピークが2〜3であることが示されている。貴殿はこの資料をもって理論上年4回の出産が可能であるとの根拠にしてあり、こちらが指摘したパンフレットのエビデンスとしているが少々無理があるのではないでしょうか。加えて、この資料の目的が「日本のイエネコを実験動物化する目的で、1969年2月から小ケージ内繁殖を試みた」とあります。サマリーにも年間出産回数については言及されていません。ついでに、参考情報として、「年間4回出産した個体を確認しているとの自治体職員からの報告もあります。生まれたばかりの子猫を母猫から引き離し、保健所に持ち込む等し、残った母猫が程なく交配成立、再び妊娠出産というサイクルに入り,年間4回の出産が成立したとのことです。」を示しているが、同じ個体であるかの確認、そもそも無条件に引き取り避妊させない、等参考情報にはほど遠いものを提示されてもこまります。筆者の愛川町役場では専門職である獣医師はおりません。野良猫に関する町のホームページ上の情報は環境省の情報を写すのみです。いわゆる孫引きしかできません。再度ご説明いただくとありがたいです。
 
環境省からの回答(2023/7/11)
→今鉾 君雄 様
 
再度のお問い合わせをいただき、ありがとうございました。
また、回答にお時間を要しましたことお詫び申し上げます。
ご指摘をふまえ、実態に即した情報に修正することが適切と認識いたしました。
この度は貴重なご意見をいただきありがとうございました。    
 
(4)VOC外猫診療所の提案
 
愛川町環境課には環境省の回答は伝えてあります。
筆者の経験と多くの猫に係わる人の意見をまとめると、
 
猫の妊娠回数は、年1回〜2回、条件により3回もありうる。1回当たりの子猫数は1頭〜5頭、条件により6〜7頭もありうる。
 
です。愛川町環境課におかれましては、環境省の修正を待たずに変更を望みます。
 
[今鉾君雄より]
環境省の役人は分かっていませんね。どこからか化石のような資料を持ちだしてきて、「これが根拠(エビデンス)だ。」といっても令和5年の時代に通用しませんね。追試験するにしても、このような実験は、動物福祉の観点から認められるわけないでしょう。残念なことに全国の自治体でこの環境省の資料を参考に業務がなされているのですから困ったものです。7月23日現在、環境省の資料等は修正されておりませんので、来年度までに修正されていないようであれば再度問合せしたいと考えています。

今年1月から3月までの避妊去勢手術実施件数をお知らせいたします

今年4月1日より、厚木市助成金制度が外猫に限って認められるようになりました。あらためてご尽力いただいた方にお礼申しあげます。さて、今年1月から3月までの手術依頼件数をご報告いたします。地域別に分けております。飼い猫・外猫、また、オスメスの区別はしておりません。「その他」には猫の捕獲場所と依頼者様の住所が異なっている猫もいれてあります。過去の詳しい内容は正確ではありませんが、愛川町で外猫の申請方法が不当に厳しくなってから依頼数が減っているように思います。連休明けには申請者数の情報開示請求を行なう予定です。わかり次第お伝えします。そもそも請求して開示するほどの情報か?とも思います。愛川町の不誠実な対応は、秋までに必ずや改めさせる決意です。

 

神奈川県内で猫の不妊・去勢手術助成制度を行なっていない自治体に理由を尋ねてみた

神奈川県内では、自治体により猫の不妊・去勢手術費用の助成を行なっているところと、そうでないところがあります。地元愛川町では色々と問題はありますが制度自体はあります。そこで、県内の制度が無い自治体にその理由を尋ねてみました。口頭で回答していただいたところはその理由を、メールで回答していただいたところはそのまま全文を掲載します。ほとんどの自治体では職員が即答できず、後日回答してもらっています。また職員の対応も明解なところもあれば、そうでないところもありました。行なっていないところは、神奈川県の動物愛護センターの制度があるので、実施していないとの理由でした。神奈川県動物愛護センターでの「飼い主のいない猫の避妊手術又は去勢手術の支援事業」に関して直接センターに問合せしたところ、制度に関して各自治体との取り決めをしているわけではなく、県独自の制度であることを確認しております。またこの支援事業は令和元年6月「神奈川県動物愛護センター」として開所してから始まった制度なので、現在の理由としては説明はつくものの、それ以前はどのような理由で行なっていなかったのかは不明です。制度の有無はともかく、回答を読んでみるとその自治体での理解度がよく判るのではないでしょうか。

開成町の回答★
今鉾 君雄様
大井町の回答★
今鉾 君雄 様
お問い合わせいただいた件について、ご回答いたします。当町においては、これまで野良猫についての苦情や相談の件数は多くなかったため、不妊・去勢手術の助成については課題として取り上げておりませんでした。また、現在では神奈川県でボランティアで活動されている団体に避妊・去勢手術の支援が行われておりますので、相談があった場合はそちらを案内することとしております。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
〒258-8501神奈川県足柄上郡大井町金子1995大井町役場 生活環境課 
TEL 0465-85-5010FAX 0465-82-3295
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
 中井町の回答★
今鉾君雄様
お問い合わせいただいた件について、ご回答いたします。当町においては、これまで野良猫についての苦情や相談の件数は多くなかったため、不妊・去勢手術の助成については課題として取り上げておりませんでした。また、現在は神奈川県で避妊・去勢手術の支援が行われていますので、相談があった場合はそちらを案内することとしております。その中で、町内でボランティア活動をされている方から、どうぶつ基金が行うさくらねこTNR事業の活用について相談を受けたことから、今年度より登録を行いボランティアと協力して活動を始めました。今後はこの活動を行う中で、助成制度の必要性等を検討していければと考えております。
------------------
神奈川県足柄上郡中井町環境上下水道課 環境班 〒259-0197住所:神奈川県足柄上郡中井町比奈窪56電話:0465-81-3903FAX :0465-81-1443
------------------
 大和市の回答★
----------回答内容ここから
VOC外猫診療所 獣医師 今鉾君雄 様お世話になります。お問い合わせの件につきまして、お答えさせていただきます。猫の不妊手術・去勢手術に係る助成制度につきましては、他市町村の状況等を総合的に勘案し、現時点において、当市では行っておりません。何卒ご理解賜りますようよろしくお願いいたします。
大和市役所医療健診課医療施策推進係----------回答内容ここまで
 
一言:VOC外猫診療所では、行政に関する電話での問合せに際して、ほぼ全て録音してあります。お問い合わせしていただくことは可能ですが、少しお時間いただく場合があります。
感想:大井町中井町は初めの文章が全く同じですね。大和市は理由の回答になっていませんね。職員本人とは何度か話をしましたが、要は「理由はない」とのことです。職員の方は自分のような人間との会話に慣れていない印象でした。

愛川町・猫の不妊去勢手術費の助成に関する気になる点〜その1〜

愛川町のホームページに示されている主旨文をまず見てみます。

このことから、野良猫・捨て猫などの増加および猫による被害を防止するには、現在猫を飼っている飼い主に対して費用の一部を助成することであることが示されています。見方をかえると現在の諸問題を解決しよういう意図はありません。主旨文は非常に重要で、例えば、『日本国憲法 前文』を考えれば容易に理解出来ると思います。

次ぎに令和3年10月1日から一部が変更されたのでこちらをお示しします。

愛川町ホームページより引用

主旨文を見ているととても良いことが書かれています。特に注目したいのは「生息状況や不妊・去勢手術の状況を把握しやすくするため」です。以前では飼い猫・飼い主の居ない猫の区別なく助成金制度を利用出来ていましたがこれを主旨文の目的を達成するため変更しようというわけです。なお、以前より利用していた愛川町在住の方は気がつくと思いますが、以前より飼い主の居ない猫に対しては補助対象となっていたので、後半部分は少々腑に落ちない内容となっています。ただし、飼い主の居ない猫に対しても助成金を出すと明言しているので良いと思います。

変更による問題点

改正告知のため、変更内容は実施日以前にホームページで確認することが出来ました。気になる点も多くあり、担当課に質問や獣医師としての提案を行ないましたが、ほとんど改善されることはありませんでした。今回、情報公開制度によって取り寄せた文書によると変更の主旨は、以前お伝えしたように、助成金制度の利用に対して均等に提供できるようにするのが主眼で、それがたまたま飼い主の居ない猫の避妊去勢を積極的に行っていた方1例のみを拠り所に申請方法を煩雑にして抑制しようとするものとなったのです。今回はここまでとさせていただきます。さらに気になる問題は後日お伝えします。