voices of cats 猫の声

神奈川県の愛川町に外猫のための診療所を始めました。

9月まで教えてくれないの?

 当診療所で4月、5月の手術件数は多いに減少しております。4月の件数の推移は、10件(2020年)、28件(2021年)、17件(2022年)となっております。2020年はコロナの影響もあったのですが、今年の少なさは予想外です。5月も2020年9件、2021年35件であたのが、現時点では9件で、月末まで10数件の少なさで終わってしまうのかもしれません。外猫は事前に申請しなければならない愛川町助成金制度変更の影響もあるかもしれません。当診療所だけの問題かもしれません。そこで、町役場に問合せしたところ「数字は把握しているが、今お伝えすることは出来きません。9月になったら決算なのでお伝え出来ます」との理解に苦しむ回答でした。こんなことでは愛川町のTNR活動は前に進むことが出来ません。今後の計画は後日あらためてお知らせいたします。

コマルとサクラ。サクラはコマルが小さいときから面倒を見ています。

獣医師に相談してみましょう

マイクロチップ等で最近話題の改正動物愛護法のなかで、第41条の2において、獣医師による虐待の通報の義務化が示されました。すなわち「みだりに殺された、傷つけられた、虐待されたと思われる動物を発見した際に、遅滞なく都道府県等に通報することを義務化」ということで、以前の努力義務から義務化へ改正されました。
先日も、紐のからまった猫のことを相談したのですが、ただ話をしただけでは、全く相手にしてくれなかった保健所職員さんですが、虐待疑いの通報の旨をファックスしたところ、急に対応が変って、現場を見ます、警察と連携します等と言ってこられました。このような事例もありましたので、外猫等の動物に関する疑問点はどんどん獣医師に相談してみましょう。

オッサンもがんばります

猫ちゃんのストレスを少なくするために

外猫の避妊去勢手術のハードルが高いとお考えの方は、多くいらっしゃいます。その原因の一つにには、手術予約をしてもその日に捕まえられるかどうかがわからないことです。当診療所では、原則予約制ですが依頼者様との事前の打ち合わせがあれば、捕獲できたその日か、翌日には手術が可能です。もちろん多くの手術が既に入っていれば出来ないこともあります。但しこのような場合は事前の打ち合わせにより、ある程度避けられます。当診療所において、依頼者様へ知っていただき、お願いしたいポイントを示しますので、ご検討されている方はご相談下さい。
①当日手術可能かどうかは食餌を何時、どの位食べたかによります。わかる限りお知らせください。食べた後に捕獲した場合は、翌日の手術となります。
②捕獲器やキャリーケースなどに入ることは、猫にとって不慣れな環境によるストレスでしかありません。排尿が出来ずに膀胱がパンパンになっている猫がほとんどです。特に雄猫の場合は、排尿困難になるような詰まりを生じることがあります。麻酔により、雌猫では手術前に圧迫して排尿、雄猫では手術前、あるいは手術直後に排尿させることで腎臓への負担を軽減させます。※雌猫では排尿させることで、術野を確保するという目的もあります。
③手術後、しっかり麻酔から覚めさせせるため、一定時間はリターンさせません。一方必要以上に捕獲器等に入れておくことは②で指摘したとおり排尿困難を生じさせてしまいます。お仕事等でお迎えまでに時間がかかる場合は必ず事前に打ち合わせを行うようお願いします。
以上となります。

それぞれの冬

 
 12月に入り寒い日が続いています。猫達の冬の過ごしかたも色々のようです。我家にいる猫達は自宅猫、診療所猫、物置猫と3つのグループに別れています。自宅猫は元々いた猫と、開業以降に引き取ったりした子猫達です。その子達も現在はほとんどが1,2歳の成猫となりました。診療所猫は開業以前からこの場所で生活していた猫達で、母猫と子猫が4匹でしたが、現在は成猫となった14歳の猫が3匹となっております。物置は開業当初から診療所の一部ではなく、猫がいてもらうスペースとは考えておりませんでした。しかし、諸事情により、手術後リターンすることが出来ない猫がおり、その子達が里親さんを見つけるまでの一時預かりの場となりました。さて、冬を経験した猫達は体調を崩すことも無く、自分たちで工夫して寒い冬を過ごしているようです。もちろん出来るだけ寒くならないようこちらでも対応していますが、冬を経験したことのない若い猫達には風邪をひく子もいます。条件的には物置の猫が一番厳しいので、使い捨てカイロなどで寒さ対策をしています。猫達がそれぞれの冬を過ごしております。
 一方、今年生まれた外の猫達のことを思うと心配でなりません。寒くならず、雪も降らない冬であってほしいと願っています。VOC外猫診療所は寒さに震える猫達が少しでも無くなるようtnr活動に係わってまいります。
 

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診療所猫の太陽

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自宅猫のさくらとまめ

 

 

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自宅猫のヒジキ

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自宅猫のコマル

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自宅猫のトラ子

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物置猫のトラ

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物置猫のゴージャス

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物置猫のシロ

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診療所猫のリラ
 
 
 

VOC外猫診療所は信念を通します

今年(2021年)4月より、以前認められていた厚木市の猫不妊・去勢手術費助成制度から、当診療所が除外されました。事前に担当者より電話1本で通告されたのですが、その後幾つかの問題が生じたため(ここでは話せませんが)、およそ半月にわたり交渉の末、以下の書面を発行してもらうことが出来ました。

以下原文

 

令和3年10月22日
VOC外猫診療所
所長 今鉾 君雄 様

厚木市長 小林 常良  ㊞

厚木市不妊・去勢手術費助成制度について

 

清秋の候、ますます御清祥のこととお喜び申し上げます。日頃、本市動物愛護行政に御理解と御協力を賜り、厚くお礼申し上げます。さて、厚木市不妊・去勢手術費の助成事業につきましては、「厚木市不妊・去勢手術費助成要綱」に基づき、事務を執行しておりますが、コロナ禍における市内事業者の支援強化及び団体育成の観点から見直しをしました結果、令和3年4月1日から手術実施機関の対象を「厚木愛甲獣医師会会員又は厚木市内に飼育動物の診療施設を開設した者」に要綱を改正させていただきましたので、御理解いただきますようお願いいたします。これまで御協力いただきましたこと、心からお礼を申し上げます。

 

担当 環境農政部 生活環境課 美化衛生係
電話 (046)225-2750(直通)
担当者 ★★★


このような対応をする自治体は近隣では皆無であり、はなはだ遺憾ではありますが、
愛川町でも問題が山積しており、厚木市の対応に関しては現時点ではスルーしておくことにします(厚木市民でもありませんし)。

ところで、診療所にいる兄弟猫4頭(1頭死んでしまいましたが)ですが、雄の茶とらは「太陽」、雌の茶とらは「リラ」、大きい三毛は「ミラ」、小さい三毛は「ヒナ」といいます。出身大学の名誉教授であり、前日本獣医師会会長の先生に名付けていただきました。加えて、当診療所では基本的に猫の引き取りは行っておりませんが、里親さん募集中、あるいは募集準備の猫が4頭おります、認可の関係であくまで診療所とは無関係の扱いとなっております。ちなみに、写真奥から厚木市三田出身、厚木市まつかげ台出身、厚木市飯山出身、厚木市愛甲出身です。

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左からミラ、太陽、リラ

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ヒナ

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診療所には属しておりません/猫は見えませんが4頭おります。




 

 

 

猫を放した後のこと〜TNR-WあるいはTNR-KWのすすめ〜

 TNRとはTrap(トラップ):捕獲して、Neuter(ニュータ–):不妊手術を行い、Return(リターン)あるいはRelease(リリース):元の場所に戻す(放す)ことを表しています。当診療所ではこの活動を支援するため、避妊去勢手術をご依頼される方々のお役に立てるよう日々努力しております。

 さて今回のテーマは,リターン後の見守りについてです。当診療所でお願いしている大切なことです。ところで、当診療所に手術依頼される猫の多くは、自宅の周りの外猫であったり、公園や河川敷等にいる猫であったりします。手術依頼の時、その猫がどんな状況にあるのかを確認させてもらっています。
以下のようなことをお尋ねしています。

 1. 野良猫かどうか
 2. 雄か雌か
 3. 体重はどの位か
 4. 年齢(月齢)はどの位か
 5. 健康状態はどうか
 6. いつごろから現れているか
 7. 毎日決まって来ているのか
 など  

わかることもあれば見当もつかないこともあります。それでも手術をお受けする側としては少しでも情報が欲しいのではっきりしなくても教えていただくようお願いしています。これらの情報を元に手術可能であるかどうか、手術後どのようなことが起こりうるのかを予測し、依頼主様と手術できるかどうかの検討に入ります。手術可能であり、無事手術が終わればお迎えとなります。当日お迎えの場合や翌日までお預かりする場合があります。元の場所に戻すのは、手術の翌日に放します。麻酔から完全に覚めるのを待つ為です。お預かりの場合は翌日の午前中をお願いしております。猫にとって、外猫・飼猫を問わず、捕獲器の中やキャリーの中はストレスを多いに感じる場所となります。安全かつストレスの無いよう依頼主様と相談させていただきます。

 元の場所に戻すの時、その場所で10分くらい捕獲器等に入れておき、猫が元の場所に戻ったことを認識してから、放します。これは猫がどこに向かって走れば(逃げれば)よいかを少しでも判断出来るようにするためです。間違っても追い出すように放してはいけません。場所によっては道路に飛び出してしまい交通事故にあってしまうからです。

 無事元の場所に放すことが出来たならば、次は今回のテーマである見守りについての話しです。私は出来るだけ猫がその後どうなったかを後日お尋ねするようにしています。いままでと同じように猫がご飯を食べに来てくれれば良いのですが、放した後見かけなくなってしまったというお話をうかがうことが時々あります。個々の原因は、想像するしかありませんが、次のようなことが考えられると思います。

 1 嫌な思いをしたので元の場所に近寄らなくなってしまった。
 2. (1と関連して)別な場所でも餌をもらえるのでそちらへ移った。
 3. (同様に)警戒し、近くに潜んでいて、餌があればそれを人影が無くなるのを待 って食べにくる。
 4. (あってはならないのですが)手術の失敗で死んでしまった。
 5. 元々飼猫で、外から戻った猫が手術されているのに飼い主が驚き、それ以降外に出さなくなった。
 6. 誰かが保護して飼うようになった。

 この中で特に注目したいのは「3」に関してです。姿が現れなくても出きる限りご飯を置いておき食べているかどうかのチェックをお願いしたいです。他の猫が食べてしまう可能性もあります。しかし、よいと思って不妊手術をしたことを後悔するようなことは避けたいところです。時間がかかっても、来ていることがわかればこんなに嬉しいことはないはずです。

 リターン後、猫を見守り続けて欲しい。TNRそしてW(KW)『 Keep Watching cats』 すなわちTNR-W( TNR-KW)をVOC外猫診療所として推奨いたします。

 

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避妊手術:術後の注意

 外猫の避妊手術では、傷を舐めさせないためのエリザベスカラーを付けることが出来ません。ですから猫が傷口を舐めても開かないように注意し傷を縫い合わせなければなりません。縫い方に皮内縫合というものがあり、縫い糸を皮膚の内側に収めてしまう方法です。当診療所では、この縫い方を実施した後、通常の縫合(多くの方がイメージするような)を追加して終了とします。外猫の多くは抜糸のために再度来院することがないので、糸が勝手に取れてしまう吸収糸を用います。時間の経過により引っ張り強度が弱まり、縫合糸は外れて取れてしまいます。ただ外側の糸を早々に自分で引っ張ってとってしまう子もいます。このため皮内縫合がより重要になります。さて、今回引き取ったサビ猫ちゃんは4日目までに5針縫った糸の4本を自力で取ってしまい(経験上、食べることはほとんどないようです)、残り1本の周囲をペロペロ舐めていたので、気になっていると判断し、こちらで抜糸しました。舐めたことが良くなかったみたいで傷がわずかに開いたため(筋肉の内側に内蔵があり、その外側に皮膚があり、それゆえ内蔵が見えているわけではありません)、エリザベスウェアを着てもらい、その間抗生剤の軟膏とガーゼで傷が治るよう処置しました。

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術後5日目

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術後6日目エリザベスウェアーを着てます

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術後9日目エリザベスウェアーは良くできています

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術後10日目傷口の一部がわずかに開いています

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術後11日目ほとんど気にならなくなりました

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術後14日目傷口は完全にふさがりました

 全ての猫でこのような事が生じるわけではないのですが、多くの外猫は人に慣れているわけではないので、一般に傷口を見ることが難しいようです。術後の経過は、元に戻ってきてご飯をしっかり食べてくれているかが判断材料になります。手術後戻る戻らないの話しは別な機会に譲りますが、外猫の避妊手術には獣医師だけでなく、依頼主様の協力があって成り立つと考えております。