voices of cats 猫の声

神奈川県の愛川町に外猫のための診療所を始めました。

愛川町で2021年10月1日から改正された猫不妊・去勢手術費助成要綱改正の書類が行政文書公開請求で届きましたのでご紹介します。

ご紹介する文書は2つで、ほぼ同じ内容ですが、1つは起案の文章で、あと1つは決定したものです。※改行が元の文章のように出来ないので、ほとんど改行無しで示しています。

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件名 愛川町不妊・去勢手術費助成要綱の一部改正について(伺い)

このことについて次のとおり改正してよろしいでしょうか。
(説明)
本町では、平成元年度から猫の不妊・去勢手術費に対して助成を行っており、その対象
は、「飼養されている猫」であり、主としては飼い猫となるが、飼い主の居ない猫(野良猫)であっても、捕獲し、人の管理下に置かれた(飼養された)という解釈により補助の対象としています。しかしながら、令和2年度中には、飼い主の居ない猫に対して実施した手術の申請について、一人で40件以上の申請をした事例があり、今後もこうした申請が続いた場合、一人の多くの申請により、補助を受けられない人が現れるなど、偏った補助制度となってしまうことが懸念されます。このため、「飼い主の居ない猫」を正式に補助対象とし、事前に計画書を提出していただくことで、補助頭数の調整ができるほか、町として飼い主の居ない猫の生息状況を把握することも可能であることから、要綱を改正し、対応するもの。(案)別紙のとおり

令和3年度予算額  猫不妊去勢手術費助成金  885000円
令和3年4月から9月までを周知期間とし、10月1日から施行したいものです。

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愛川町不妊・去勢手術費助成要綱改正概要


本町では、平成元年度から猫の不妊・去勢手術費に対して助成を行っており、その対象
は、「飼養されている猫」であり、主としては飼い猫となるが、飼い主の居ない猫(野良猫)であっても、捕獲し、人の管理下に置かれた(飼養された)という解釈により補助の対象としている。しかしながら、令和2年度中には、飼い主の居ない猫に対して実施した手術の申請について、一人で40件以上の申請をした事例(ボランティアと思われる。)があり、今後もこうした申請が続いた場合、一人の多くの申請により、補助を受けられない人が現れるなど、偏った補助制度となってしまうことが懸念される。このため、「飼い主の居ない猫」を正式に補助対象とし、事前に計画書を提出していただくことで、補助頭数の調整ができるほか、町として飼い主の居ない猫の生息状況を把握することも可能であることから、要綱を改正し、対応するもの。なお、令和3年4月から9月までを周知期間とし、10月1日から施行したいものです。

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今回はこれらの文章をお示しするにとどめ、改正後どのようになったのかはあらためてご報告させていただきます。

 

 

VOC外猫診療所でのマイックロチップ装着済猫の手術依頼への対応

当診療所でマイクロチップを装着した場合、飼主様が出来る登録には、法定登録すなわち国が情報を所有するものと、各団体が情報を所有する民間登録があります。当診療所では法定登録に加え、費用は追加となりますが民間登録(当診療所ではAIPOが可能)もお勧めしております。法定登録の検索は,環境大臣指定登録機関マイックロチップコールセンターに問合せます。朝8時〜夜20時まで、365日対応で、コールセンターが登録飼主に連絡をいれます。こちらが飼主情報を得ることは出来ません。一方AIPOでは、当診療所で直接検索できるため、こちらが電話連絡することが可能です。ただし、いずれの場合でも飼主様と連絡が出来ない場合があることは容易に想像できます。
さて、開業以来外猫の不妊手術においてマイックロチップが装着された猫はいませんでした。当診療所の方針としては、手術依頼の経緯をよく確認し、マイックロチップ装着が手術前に確認された場合、速やかに調べ、連絡がとれた場合には先方の話を伺い、飼主様の意向に従います。しかし、連絡がつかない場合は依頼者様と相談し手術の中止が妥当な判断になると考えます。確認しておきたいことは、最終的な責任は獣医師の今鉾にあるということです。

去勢手術と併せて、大福ちゃんにマイックロチップを装着

 

野良猫に餌を与えて良いのか?

さて、飼い主のいない猫に餌を与えて良いのか?という問題です。結論からいうと問題なしです。もちろん与え方のルール、例えば片づけ、避妊去勢の推進、トイレトラブルの解決などを行うのは当然です。なぜ問題ないのかというと、基本的には法律で禁止されているわけではないからです。しかし、猫好きの皆さんは、餌をやるなと言われたり、地区の回覧板でみたり、公園などの看板で餌やリを認めない主旨の内容を目にしたことがあるでしょう。そこで、この件に関して具体的な話をお示ししますので、困ったときには参考にしてください。とってもシンプルな話です。内容は大まかなのでご注意ください。
①9月7日愛川町環境課担当職員との話です。
職員:「愛川町では野良猫に餌を与えないよう指導しています。」
今鉾:「でも、厚木保健所では、餌やりを禁止してはいないと言ってますよ。」
職員:「県がどう言おうと町とは関係ありません。」
今鉾:「・・・・」
②9月9日神奈川県生活衛生部生活衛生課
今鉾:「厚木保健所では野良猫の餌やリを禁止してはいないと言っていたが正しか。」
職員:「法律で規定がないので、ルールを守っていただく必要があります。」
今鉾:「愛川町の職員は野良猫に餌を与えてはいけないといっている。県とは見解が違うが、町に対して意見を述べることはないのか」
職員:「法律的規定がないので、町の見解に県が何かをいうことはありません。」
今鉾:「では愛川町民であると同時に神奈川県民である自分としては何れの立場で行動しても問題はないということですね。」
 職員:「・・・・」

主旨は大体こんなところです。県のホームページにも野良猫に対する注意点など示されているのでぜひご覧いただきたい

91歳の母と里親募集中の大福ちゃん

 

 

厚木市から回答がきました

当診療所は厚木市助成金制度利用の対象病院に当初なっていたにもかかわらず、途中で対象から除外されました。理解しがたい理由でしたが、1年近く経ったので再度問い合わせてみました。回答がきましたのでお知らせいたします。


以下原文

令和4年8月26日
VOC外猫診療所
所長 今鉾君雄様


厚木市長 小林 常良 ㊞

 厚木市不妊・去勢手術費助成制度について

立秋の候、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
お問い合わせいただきました内容につきましては、令和3年10月22日付で回答した状況と変更ありません。今後とも動物愛護行政に対し、御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

担当 環境農政部 生活環境課 美化衛生係
   電話 (046)225-2750(直通)
   担当者 ★★、★★★   (※★は筆者が記入)


 
前回の回答は以下の通りです
   
以下原文

令和3年10月22日
VOC外猫診療所
所長 今鉾 君雄 様

厚木市長 小林 常良  ㊞

厚木市不妊・去勢手術費助成制度について

清秋の候、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。日頃、本市動物愛護行政に御理解と御協力を賜り、厚くお礼申し上げます。さて、厚木市不妊・去勢手術費の助成事業につきましては、「厚木市不妊・去勢手術費助成要綱」に基づき、事務を執行しておりますが、コロナ禍における市内事業者の支援強化及び団体育成の観点から見直しをしました結果、令和3年4月1日から手術実施機関の対象を「厚木愛甲獣医師会会員又は厚木市内に飼育動物の診療施設を開設した者」に要綱を改正させていただきましたので、御理解いただきますようお願いいたします。これまで御協力いただきましたこと、心からお礼を申し上げます。

担当 環境農政部 生活環境課 美化衛生係
電話 (046)225-2750(直通)
担当者 ★★★       (※★は筆者が記入)

 

さて、今回の回答は前回の回答と内容は同じでした。変更見直しのポイントとして厚木市が示したのは、

①コロナ禍における市内事業者の支援強化

②団体育成

の2点になります。①に関しては厚木市の考えがあるのかもしれませんが、多くの自治体で自らの地域に限定している所は近隣ではありません。限定している例として横浜市では、川崎市藤沢市鎌倉市横須賀市、逗子市、大和市、町田市としており、横浜市に隣接している自治体を含めて登録動物病院として認めています。ちなみに当診療所では川崎市に申請をしており、登録されています(今まで川崎市の方は一度も来られておりませんが)。以前厚木市に問い合わせてみたところ、「他の所は関知しない」とのことでした。つぎに②に関しては、厚木愛甲獣医師会と厚木市との関係がどのようになっているかは調べようがありません。そこで「公益社団法人 日本獣医師会」に会員と非会員が不利益を生じさせるような考えかたをしているのか?と問い合わせたところ、「公益社団法人ですからない」という主旨の回答を得ました。ちなみ日本獣医師会と厚木愛甲獣医師会と直接組織的な関連はありません。ただ、一般の方から見れば同じ組織であるように見えるでしょう。

このように厚木市の多くの方が当診療所で制度利用出来ないことは理不尽でなりません。助成金が無くても当診療所を利用される方はいらっしゃいます。ただ、釈然としない方が多くいらっしゃることも事実です。

 

 

茶シロのぶーちゃん

 川崎にある製鉄所のJFE、この会社所有の敷地にいる猫達の問題は、現在も解決していないのが実情です。ただ、川崎の動物保護団体である幸アニマルサポートさんの活動ならびに2272万円ものクラウドファウンディングの達成により、道筋が少し見えてきたようにも思えます。JFE川崎市の対応の不誠実さは目に余るものがあります。それでも何とかしようという代表の浜田さんの努力には頭が下がります。
 今回ご紹介する、ぶーちゃんという名前の茶シロの雄猫は、この一連の活動のきっかけをつくった猫ちゃんです。残念なことにもう亡くなってしまってこの世にはいません。はっきりは記憶しておりませんが、2019年1月頃に以前の勤め先の動物病院に、現在は辞めてしまっているのですが、協力会社で働いていた、Aさんが、左目の傷から大量の出血をしているとのことで連れて来られました。B先生が担当され、しばらく入院をし、そろそろ退院ということになりました。この時にAさんから自宅には先住猫がおり、猫エイズ陽性のぶーちゃんを連れて帰れない、元の場所であるJFEの敷地には戻したくない、と相談を受けました。この時JFEに数百匹もの猫がいて、過酷な環境下で生きており、トラックに引かれる猫もたくさんいることを知らされました。思案の結果、愛川町の自宅に連れて帰ることにしました。2019年1月26日のことです。この頃浜田さんにもJFEのことをお伝えして、解決の糸口が見つからないまま話は終わってしまいました。2019年10月に川崎の病院を退職し、同年12月に外猫・保護猫の避妊去勢手術を主とする動物病院を開設しました。多くの方々に信頼していただき何とか経営を続けることができております。さて、ぶーちゃんはというと2段ケージでその日のほとんどを過ごし、食欲元気も問題なく生活しておりました。ただ、猫エイズの影響で口内炎が酷く、定期的に投薬などの治療は続けておりました。腎臓の具合が悪いと思われたので、去勢手術は行わず様子を見ることにしました。発情はわずかに認められて程度でした。自宅猫との交流を避けるため、物置での生活となりましたが、ぶーちゃんは「出してくれ」とも言わず穏やかに過ごしておりました。開業以来ぶーちゃんの世話をする度に川崎の猫達が気になっていたのですが、地元の猫達の手術依頼に追われ、コロナ禍ということもあり、川崎に行くことはありませんでした。定期的な抗生剤の注射を続けてきたぶーちゃんですが、2021年1月頃から抗生剤に対して反応が思わしくなく、口内炎が悪化して食欲が大きく落ち始めました。自分で食べれなくなってからは経鼻カテーテルで流動食を与えていたのですが、2021年1月19日に息を引き取りました。川崎のAさんには亡くなったことをお伝えした際、私の元で生活出来たことに大変感謝していただきました。ぶーちゃんは地元の斎場で荼毘に付されました。お骨は自宅の部屋に、以前飼っていた他の子達と一緒にあります。
 ぶーちゃんが亡くなってからおよそ8ヶ月後、川崎の浜田さんからJFEの猫のことに問合せがあり、自分は係わっていない旨お伝えしました。彼女はJFEの猫達を何とかしたいと強い決心があり、情報を求めて自分に連絡をしてくれたようです。彼女にAさんのことを紹介し、一連の活動へとつながったようです。
 ぶーちゃんというたった一匹の猫が、多くの猫達を救う活動へ人たちをつなげてくれました。川崎ではまだまだ困難が続いておりますが、多くの皆さんにぶーちゃんのことを知ってもらいたく今回お話させていただきました。企業、行政の壁は厚く高いですが、自分としても思うことがあり、地元で活動を続けて参ります。今後に注目していただければ幸いです。

2019年1月27日、自宅に着いた翌日のぶーちゃん

口内炎も安定し、落ち着いた様子のぶーちゃん

経鼻カテーテルから流動食を与えられているぶーちゃん。この2日後に亡くなりました。

 

9月まで教えてくれないの?

 当診療所で4月、5月の手術件数は多いに減少しております。4月の件数の推移は、10件(2020年)、28件(2021年)、17件(2022年)となっております。2020年はコロナの影響もあったのですが、今年の少なさは予想外です。5月も2020年9件、2021年35件であたのが、現時点では9件で、月末まで10数件の少なさで終わってしまうのかもしれません。外猫は事前に申請しなければならない愛川町助成金制度変更の影響もあるかもしれません。当診療所だけの問題かもしれません。そこで、町役場に問合せしたところ「数字は把握しているが、今お伝えすることは出来きません。9月になったら決算なのでお伝え出来ます」との理解に苦しむ回答でした。こんなことでは愛川町のTNR活動は前に進むことが出来ません。今後の計画は後日あらためてお知らせいたします。

コマルとサクラ。サクラはコマルが小さいときから面倒を見ています。

獣医師に相談してみましょう

マイクロチップ等で最近話題の改正動物愛護法のなかで、第41条の2において、獣医師による虐待の通報の義務化が示されました。すなわち「みだりに殺された、傷つけられた、虐待されたと思われる動物を発見した際に、遅滞なく都道府県等に通報することを義務化」ということで、以前の努力義務から義務化へ改正されました。
先日も、紐のからまった猫のことを相談したのですが、ただ話をしただけでは、全く相手にしてくれなかった保健所職員さんですが、虐待疑いの通報の旨をファックスしたところ、急に対応が変って、現場を見ます、警察と連携します等と言ってこられました。このような事例もありましたので、外猫等の動物に関する疑問点はどんどん獣医師に相談してみましょう。

オッサンもがんばります