voices of cats 猫の声

神奈川県の愛川町に外猫のための診療所を始めました。

猫を放した後のこと〜TNR-WあるいはTNR-KWのすすめ〜

 TNRとはTrap(トラップ):捕獲して、Neuter(ニュータ–):不妊手術を行い、Return(リターン)あるいはRelease(リリース):元の場所に戻す(放す)ことを表しています。当診療所ではこの活動を支援するため、避妊去勢手術をご依頼される方々のお役に立てるよう日々努力しております。

 さて今回のテーマは,リターン後の見守りについてです。当診療所でお願いしている大切なことです。ところで、当診療所に手術依頼される猫の多くは、自宅の周りの外猫であったり、公園や河川敷等にいる猫であったりします。手術依頼の時、その猫がどんな状況にあるのかを確認させてもらっています。
以下のようなことをお尋ねしています。

 1. 野良猫かどうか
 2. 雄か雌か
 3. 体重はどの位か
 4. 年齢(月齢)はどの位か
 5. 健康状態はどうか
 6. いつごろから現れているか
 7. 毎日決まって来ているのか
 など  

わかることもあれば見当もつかないこともあります。それでも手術をお受けする側としては少しでも情報が欲しいのではっきりしなくても教えていただくようお願いしています。これらの情報を元に手術可能であるかどうか、手術後どのようなことが起こりうるのかを予測し、依頼主様と手術できるかどうかの検討に入ります。手術可能であり、無事手術が終わればお迎えとなります。当日お迎えの場合や翌日までお預かりする場合があります。元の場所に戻すのは、手術の翌日に放します。麻酔から完全に覚めるのを待つ為です。お預かりの場合は翌日の午前中をお願いしております。猫にとって、外猫・飼猫を問わず、捕獲器の中やキャリーの中はストレスを多いに感じる場所となります。安全かつストレスの無いよう依頼主様と相談させていただきます。

 元の場所に戻すの時、その場所で10分くらい捕獲器等に入れておき、猫が元の場所に戻ったことを認識してから、放します。これは猫がどこに向かって走れば(逃げれば)よいかを少しでも判断出来るようにするためです。間違っても追い出すように放してはいけません。場所によっては道路に飛び出してしまい交通事故にあってしまうからです。

 無事元の場所に放すことが出来たならば、次は今回のテーマである見守りについての話しです。私は出来るだけ猫がその後どうなったかを後日お尋ねするようにしています。いままでと同じように猫がご飯を食べに来てくれれば良いのですが、放した後見かけなくなってしまったというお話をうかがうことが時々あります。個々の原因は、想像するしかありませんが、次のようなことが考えられると思います。

 1 嫌な思いをしたので元の場所に近寄らなくなってしまった。
 2. (1と関連して)別な場所でも餌をもらえるのでそちらへ移った。
 3. (同様に)警戒し、近くに潜んでいて、餌があればそれを人影が無くなるのを待 って食べにくる。
 4. (あってはならないのですが)手術の失敗で死んでしまった。
 5. 元々飼猫で、外から戻った猫が手術されているのに飼い主が驚き、それ以降外に出さなくなった。
 6. 誰かが保護して飼うようになった。

 この中で特に注目したいのは「3」に関してです。姿が現れなくても出きる限りご飯を置いておき食べているかどうかのチェックをお願いしたいです。他の猫が食べてしまう可能性もあります。しかし、よいと思って不妊手術をしたことを後悔するようなことは避けたいところです。時間がかかっても、来ていることがわかればこんなに嬉しいことはないはずです。

 リターン後、猫を見守り続けて欲しい。TNRそしてW(KW)『 Keep Watching cats』 すなわちTNR-W( TNR-KW)をVOC外猫診療所として推奨いたします。

 

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